更年期とめまい他 (2001/12/10)
◆めまいを訴える更年期50代の女性○さん 10年来、季節の変わり目ごとに肩こり、頭痛、腰痛、めまい感などで来院されている方。以前から肩や首のこりが高ずると頭痛・頭重と共に軽いめまい感(浮遊感)に見舞われている。 小柄でよく身体が動く働き者。ここ数年は「楽をして」仕事はしていない。そのためもあってか少々太り気味。 昨年より閉経に伴って「冷えのぼせ」症状がひどく、婦人科でホルモン補充療法を受けている。 女性ホルモンが急に減ってくる時期には、全身の筋肉の硬さが増してくる。筋緊張性の「こり」とは違った印象がある。特に背部から肩や首にかけての筋肉が硬く、一般的なこりの処置では効果は一時的でなかなか頑固である。 男性でも更年期に該当するような時期の人には、似たような筋肉の硬化現象が見られたりする。 甲状腺(副甲状腺も含む)の病気の場合などでもやたらに全身の筋肉が硬くなって、通常の「肩こり」とは違った印象をもった「こり」現象が見られることがある。 骨格筋は、女性ホルモンなどによってその性状がかなり変動するようで、単純な緊張性・疲労性・神経筋性のこり等とは異なった病態をもっている。従って養生や治療も「こり」の部位に注目するより、より全身的な要素が大切である。
めまいの病態は、つきつめれば内耳の自律神経失調症と考えて良いのではないかと思われる。メニエル氏病にせよメニエル症候群にせよ良性頭位性にせよ、平衡機能を調整する内耳とその周辺に病の巣がある。
全身的な要因としては、末梢循環の変動である「のぼせと冷え」による頭部の血液分布のアンバランスその変化の大きさが引き金になる。
漢方的には、水分の停滞という見方もできるようである。
局所的には、耳の後ろから後頭部にかけての首筋の「こり」に着目すべきである。
生活上は、なんと言っても睡眠につきる。これは、睡眠時間ではなく、熟睡の時間というべきで、藤野先生曰くの「脳疲労」を改善するような深い眠りができているか否かということになる。不眠=脳疲労→内耳の自律神経失調症→めまい、という単純な図式も間違っていないだろう。
メ
ニエルの大家とされる福岡のS病院の耳鼻科の先生は、「精神安定剤漬け」といってよいほどの処方をされて揶揄されかねないようだが、どんな方法でも良いか
ら「眠らせる」ことは基本的には良いことだと思う。もっとも、そこに至る過程で養生の観点が希薄で、ただ薬圧で圧倒するだけには疑問もあるが。
そして最後にもっとも重要な要因と考えられるのは、やはり心の問題であって、この場合も「不安」がめまい症状を倍加し固定し難治化させるのではないかと思う。
軽
いめまい感が、更年期の循環器神経症的な動悸や胸部圧迫感、のどの閉塞感などと前後して発現すると、一気に切迫的な恐怖症の様相を示し、やがてパニック的
な発作を起こし、そのパニック的な体験は心に深く記銘され、平衡感の感覚の軽微で微妙な変化ですら発作を「予知」させるようになるのではないか。
◆首の短い人は頸部神経痛
俳優の西田敏之が頸椎椎間板ヘルニアで手術したという話を、件の患者さんから聞かされて、「あの人も首が短いでしょう」と二人で納得しあう。
美容室で仰向いて洗髪する姿勢も、該当するような体型の人にとってはとても危険である。
◆首の寝違い
大方の痛みが取れても、あと少し肩から首の横筋にかけてツッパリが残っていた女性の場合。肘の下方で手のひら分ほど小指に向かった骨の際、支正というツボに鍼をすると直後に首から肩にかけての横筋のツレがなくなる。
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