養生之暦 H27年 8月
初秋 八日立秋 二十三日処暑
◆七月の気温は、中旬まで低め、下旬に一気に平年並みに上昇し、月間平均では一度低めでした。冷夏の兆しは
あるのですが、今が一番、のヒトにとっては、暑い熱い夏本番のようです。エルニーニョ現象は持続しているものの、日本での顕著な影響は見られない、とされ
ています。早い時期の台風の頻発襲来は少し気配が違っているように思えますが、どうでしょうか。
◆ここのところ膝痛を抱える患者さんが目に付きま
す。膝の三つの構造、内側半月板、内側側副靱帯、前十字靱帯、この三つの部分の何れかの損傷があまりにも常習的に生じることから、これらの部位のトラブル
に起因する障害は「不幸の三徴 Unhappy trias
」と呼ばれているそうです。このような事態を「内なる魚をもつことの落とし穴の明確な証拠」と唱えている研究者もいます。曰く、「魚類は二本の脚で歩いた
りはしない。人間らしさ、つまりは、魚の身体構造から進化したヒトの体が抱えた代償の一つが膝痛なのだ」という訳です。このような説明は、学問としては正
当であったとしても、膝痛に悩む当人にとって、何の慰めにもならないでしょう。というか、四つん這いで這いずり回ることが本質的な解決策だ、というのは酷
い話です。骨切り手術や人工関節が現時点での最終到達点のようですが、術後の経年評価では毀誉褒貶があるようです。どんな障害でもそうですが、痛みや障害
の直接因と間接因を切り分けて、それぞれに対応可能な複数の手立てを検討実施する、こんな真っ当な治療戦略は、制度化され平準化され点数化された現代医療
では、なかなか至難のワザのようです。傷んでいる部位と、傷ませる構造・仕組み、最低でもこのよう二段構えで病を考える智慧が欲しいものです。
彼れ其れと冥土の旅や赤トンボ
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