冷え症(性)のパラドックスとジレンマ 2
先の記事では、冷え症(性)の成り立ちに4つの要因を想定しました。
その中で最も末梢で作用しているであろう
① 四肢末端および耳介や顔面のAVA=動静脈吻合の開閉による放熱調節
について、考えてみます。
模式図を描いてみました。
ヒトの皮膚では、手のひら、足の裏、耳たぶ、頬、口の周り、粘膜では舌、鼻や咽などの上気道に分布しているそうです。
これらの部位は、ラジエター=熱交換器として働き、吻合部の平滑筋の収縮と弛緩によって血管径が調節され、結果としてこの部の血流量が増すことで放熱を増大させる、と考えられているようです。
基本、吻合部の平滑筋は血管収縮性の交感神経のトーンによって調節されているようです。
冷たい水に手や足を浸したのち、暫くすると一気に暖かくなる現象=Lewisの寒冷血管拡張反応CIVDは、AVAでの血流増加によって起こるとされていますが、この現象は交感神経を遮断しても生じるので、冷刺激の血管平滑筋への直接作用と考えられています。
この寒冷血管拡張反応は、AVAの存在する皮膚で認められており、凍傷による組織破壊を未然に防ぐための合目的な反応だと考えられています。
平常状態で環境温度が一定の高さにある場合、AVAを備えた皮膚部分の温度は、特段に暖かくも冷たくも無い、ほぼ温度覚ニュートラルな状態となっているはずです。
少なくとも「冷える。冷たい」ということにはならないハズです。
冷え症(性)の人は、こんな状態で手足が「冷たく(氷のように)温もらない」のです。
フトンに潜り込むと5分もしないうちに足がポカポカしてくる人は、もちろん冷え症(性)ではありません。
赤ん坊が眠気をさしているサインは、「ぐずり」と手足のポカポカです。
熊の子供でも両足の裏がポカポカが眠たくなったサインだと、ムツゴロウ博士が書いていました。
治療中に足がポカポカになる場合と、そうならない場合がありります。
足の冷えがある患者さんのその足を、治療時間内にポカポカにできるかどうか。
いろいろな手法があるでしょうが、高い確率でそれを達成するには、それなりの理論的な根拠や説明が不可欠ではないかと考えています。
冷たい足が、治療後にはポカポカになる、そのような治療では、確実に患者さんの抱えている様々な問題が軽減してくる、とそう思っているのですがどうでしょうか。
このポカポカ作戦と、AVAの働きは関係がありそうです。
AVAのその変化を誘導する手法を追求しています。
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