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2015年3月13日 (金)

冷え症(性)のパラドックスとジレンマ 1

暖かい室内でも、布団に入っても、足が温もらず氷のように冷たい。
湯たんぽや電気毛布が冬の必需品。
靴下を何枚も重ね履きする。

こんな冷え症(性)の主な要因が、筋肉量が少なく、皮下脂肪も少なく、基礎代謝が低く、低体温という場合を除けば、十五分以上の長風呂、厚着や保温のしすぎ、外部からの加温のしすぎではないか、というのはパラドックスです。

また、冷え症(性)の対処法として、保温や加温を控えことが良策だったとしても、当の本人にとっては大いにジレンマとなる指針でしょう。

寒い場所に居て、手足が冷たくなるのは合理的な身体反応です。

内熱・恒温動物であるヒト(哺乳類と鳥類全般ですが)では、環境温度に対する産熱と放熱のきめ細かな調節が、体中心部(内臓や脳など)の核心温度を一定(多少のゆらぎはあっても)に保つために必須の機構です。

化学反応である生命現象の基盤は、温度に依存していますから。

一定の寒さ環境で、放熱を抑制する働きが正常であれば、手足は冷たいのが自然です。
死んだら冷たくなりますが、寒いところで手足が冷たくなるのは生きている証拠というか、体温調節機構が正常に働いている証です。
脳死や植物状態では、環境温に関わらず、手足はポカポカになっているハズです。

熱出納を調節している手足の自律神経の働きが過剰であったり、寒さの基準点が高めにセットされていることが冷え症(性)の要因だと思われます(上述の低体温で基礎代謝が低い場合を除いて)。

① 四肢末端および耳介や顔面のAVA=動静脈吻合の開閉による放熱調節
② 四肢での対向流熱交換による末梢の放熱機構に達する動脈血の温度調節
③ 脳内の体温調節中枢を環流する血液温に影響するであろう頸動脈部での放熱と保温の状態
④ 体温調節中枢で「セット」されているであろう「寒さの基準点」となる「寒さ閾温度」を決める要因(これが長風呂や熱風呂や厚着の結果ではないか)

たぶん、これらのステップを逆に辿れば、オパルモンなど、無理矢理に末梢血管を拡張する、という謳い文句の薬剤などの世話にならずに、冷え症(性)を改善することに役立つはずです。(このテーマは、夏井先生の2015年1月のテーマとなっていた「冷え症=熱風呂・長風呂病」の説明につながるものです。夏井先生は、冷え症にオパルモンが定番、と何度も述べられています。)

上実下虚や頭熱足寒などと呼ばれる熱偏位の状態は、さまざまな病態の背景にあるものとして想定される(「証」として)と同時に、治療の指標となっています。

このあたりを生理学で解くことは、そんなに難しいことでは無いと、私は考えています。

医学に西洋も東洋も無い、というのが私の持論です。

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