絡(脈)と経筋と経脈
絡(脈):
最も古い層に想定される脈管外体液の循環動態を水の流れとして捉えた「絡(脈)」。
脈管の発生前も後も身体をその中に浮かべる体液の海、そ
の海に行き交う潮の流れ、あるいは満ち引き。この身体を往還する体液の潮流は、太古の海が潮汐によって生命を育んだように、今も生物の最もプリミティブな
リズムを刻み細胞の生を支えている。
経筋:
多軸多関節構造体としての脊椎動物の縦方向・長軸方向に連なる筋肉の連鎖のもっている、姿勢や位置、つまり静的・動的なアラインメントを保持・支持するための反射的連関的統合的な働き。
動物系-体性反射機構=姿勢制御系・静的動的アラインメントを成り立たせている多軸多関節制御系としての経筋。
この機能を利用した遠隔的あるいは局所的なアプローチを経筋診断・治療と呼べる。
経脈:
A:体幹や体肢の一定エリアにおける体熱管理的な仕組み 往流系と還流系の位相差反応差の利用
B: 体幹の脊髄断区における脊髄反射的な体壁と内臓との間の自律神経反射の働き
C: 全身レベルでの体熱管理的な合目的性をもった統合反応の働き
D: 間接的(熱量移動と血量移動に伴う)な内臓活動への干渉
植物系-自律系反射機構=温度制御系・体内温度恒常性を成り立たせている地域性をもった統合的血管制御系としての経絡。
内蔵と体壁、体幹と体肢、より内部とより外部、上半身と下半身、上下半側の反対側、中枢側と末梢側などの部位器官の間の脈管系の相反・相同的な反応性の系列を、「経(縦方向の本流)」と「絡脈(横方向の支流)」として認識する。
この系列の機能を、病の発生と養生の理論根拠とし、全身的あるいは局所的なアプローチを行うものを経絡診断・治療と呼べる。
経絡(狭義)は、過酷な大気中に棲息する陸棲動物が獲得した「内臓-体壁の二大循環の相反方向性」にその起源があるのではなかろうか。
( 2003/03/24 )
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