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2014年11月30日 (日)

正座シビレと神経痛 (2003/03/23) 

 正座などで起こるシビレは、誰もが体験したことのあるごく軽い末梢神経障害であって、神経(束)が圧迫絞厄された結果と考えられる。まずビリビリ・ジン ジンとした異常感覚が、しまいには感覚麻痺が起こる。回復の過程では異常感覚は痛みに近くなり感覚過敏も生じる。ただ神経痛としては感じられないのが普通 である。この時にシビレた部分を突っついたりされるととても痛いもので、こんなイタズラもこれまた誰もが経験していることであろう。

      
 正座シビレは、ごく軽い末梢神経障害であるが、機械的圧迫による伝導ブロックの典型でもある。この種の神経伝導ブロックの軽度で初期的な段階の徴候は、 興奮性が亢進するだけではなく、圧迫部位に局所電流が生ずることなどによって自発的に(つまりは受容器からの刺激に応答したものではない)高い頻度の活動 電位の発火が起こっていることを意味している。
      
 例えば、脊椎内あるいは椎間孔からその周辺部位で神経繊維の束(神経根)に圧迫性の伝導ブロックが生じているとしよう。非常に多くの神経繊維が束ねられ ている神経根では、それを包む結合組織の鞘が丈夫であればあるほど、外部からの圧迫力は中心部で大きくなるだろう。中心部には、より遠く末梢に至る神経繊 維が走っているのが合理的である。つまり、根部周辺での神経束の機械的圧迫や絞厄で生ずる伝導ブロックでは、その束の中で最も遠位に達する有髄感覚神経繊 維(固有感覚や触覚など)から順に障害が起こるのではないかと想定される。これは、現実の神経痛の事態によく合致した説明ではないだろうか。(だとする と、神経痛に先行して、伸張反射などの姿勢や運動に関する脊髄反射に何らかの失調徴候が見られるのではないかと考えられる。)
      
 正座シビレの場合、神経痛様の痛みはないのが普通であるが、回復期に生ずる強い異常感覚が限りなく神経痛に近い。回復時間が素早いために神経痛のような痛みとして認識されることが少ないのだと思われる。
      
 神経痛とは、伝導ブロックの軽度な段階での興奮性の高まった徴候の一つであり、ブロックが生じている神経部位で膜安定化が損なわれたりしてイオン擾乱が 大きく長く続くことなどによって過剰な局所電流が生じ、(末端からの伝播ではない)活動電位が自発的に過剰に発生している状態だということになる。

        末梢神経の侵害状態が起きている部位に直接影響し(痛みや疼きを再現することで確認されたりする)、その侵害状態を和らげるような治療的な刺激効果の説 明は解りやすく、実際によく使いそれなりに効果があると思えるのだが、痛み疼き感じられている部位への刺激の効果や、その疼きを再現するような中間的な部 位への刺激効果はどう説明したらよいのだろう。
      
 伝導ブロックされ侵害状態に陥っている神経は、その侵害部位を出発点として過剰なインパルスを発しているわけだが、そのインパルスはその支配域である体 壁の痛みや疼きとして感じられる。この支配域の痛みや疼きは、幻肢痛のような一種の錯覚のようなものと考えても良い。
      
 この痛みや疼きを感じている部位の受容器は興奮しておらず、従って活動電位の発生も上行伝播もない。痛み疼く部位への刺激の効果や、その痛み疼きを再現 するような中間的な部位への刺激効果を説明するとすれば、そのような刺激は軽度の伝導ブロックが起こっている部位に向けて活動電位を伝播させ、この下流か ら到達した活動電位によってイオン擾乱状態が何らかの干渉を受けるのではないか、という仮説がたてられる。もう一つの仮説は、二次神経レベルでの側抑制や ゲート制御であろうが、これは「なでさすり」効果の説明として有力なものであろう。

       伝達ブロック部位に侵害状態を形成し、そこで興奮性の高まりを左右している要因はどのようなものであろうか。低気圧の接近と神経痛の増悪の間には、本当に関連があるのか、あるとしたらどのようなメカニズムが働いているのだろうか。

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