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2014年11月19日 (水)

冷えのぼせ (2002/03/18)

このところ「冷えのぼせ」に関連した患者さんに目が向いています。
「冷え」症(各所の冷え、のぼせを伴う冷えなど)の統計によれば、春先と秋口が最も冷えの訴えが多く、春先は秋口の三倍ほどはあると、先日の講演会で知って納得した次第(単に不勉強の故ですが、長崎の長戸先生はお医者にしては上等で機微を直覚される方でした)。

生命活動の基本を「熱交換あるいは熱平衡、総じて熱管理」と考えると、東洋医学の見方が少し納得がいくものとして見えてきます。

冬型から夏型への熱管理のシステムの変更に伴う混乱擾乱が、「木の芽立ち」の春から初夏の不調と、「葉落つ」秋口の不調の基盤にあります。
低血圧傾向に注目して「春先体調不良症候群」などと呼んだりしていましたが、血圧傾向に関わりなく「気の偏在」による各種の不調と考える方がより実際的なようです。

喘息、リウマチ、神経痛、鼻炎(花粉症も)、めまい・耳鳴り、頭痛・頭重、不眠軽躁などなどは、春先の大気陽気の上昇が、血圧傾向などに関わらず身体陽気の上亢上衝をもたらし、頭熱足寒-上熱下寒-上実下虚などという身体熱分布のアンバランスとなっている状態がそれらの発症基盤となっています。

ここ数年、通年で更年期もありメニエル様のめまいを訴えるTさん、高血圧症のMさん、おなじく高血圧症でめまい頭痛が持病のMさん、坐骨神経痛のSさん、喘息のAさん、偏頭痛もちのUさんYさん・・・・・
きりないほどにこの時期に来院されるみなさんは、春の陽気への不適応症状がでていると考えられます。

足部(指先、足甲、足裏、踝の周囲など区分すると少しずつ病態が違う様子もあります)の厥冷(けつれい)感があり、鼻粘膜の充血傾向(特に午前中)などがあります。

※厥は、原義は曲刀を意味し、桀・曷に通じ強暴さや荒々しさの義をもっている字。「猖獗を極める」の獗も同類。それで厥冷の用法は、ただ単に「冷えている」状態ではなく、「冷え」として強く自覚される、というような使い方。

このような病態は、陽気が上半身(特に胸から頭部に)に上衝(じょうしょう:上って衝く)するに伴い、下半身に陽気の不足が生じる結果と考えることができます。
これは、元々に陽気が不足がちな人でも、多すぎる人でも同様に起こりうる事態です。
こういう意味での「のぼせ」は、低血圧傾向の人にも生じるわけです。
また、元々に呼吸器・肺系統に弱点を抱える人、胃腸系統が弱い人、心気傾向が強い人、なとなどの身体傾向(体質といって良いのですが)によって、この種の「のぼせ」が現す実際の病症にバリエーションが出てくるようです。

養生治療は、足部が暖まる(暖めるではなく)と、おどろくほど気分が良くなり、それぞれに固有の病症も軽減していきます。
しかし時候としての陽気への反応という側面から言えば、基本的には3月と4月(仲春と晩春、旧暦2月3月)が陰陽転換期となり、陽気擾乱が生じやすく、拡張すれば夏も仲夏つまりは6月頃までは「のぼせ」は繰り返し生じてしまいやすいものです。

足部を暖めるではなく、足部が暖まるような養生治療には、上半身の陽気を降す、具体的には手の陽明経と言われる経絡のキーポイントになる要穴、合谷を使うことが基本となります。
合谷に針を刺して数分とたたぬうちに足先あるいは踝が暖かくなってきたらしめたものです。
(足先の温もりは心気傾向と、甲や踝の温もりは臓器傾向と関連が深いようです。)

東洋医学の五行陰陽のシンボリズムは、まさに生命=熱管理のシステムとリズムとして考えると納得できるものがあります。
大まかにとらえると、五行は空間分類、陰陽は時間分類です。
陰陽をさらに三段階に区分すると、陽明・少陽・大陽・厥陰・少陰・大陰となり、四季配当の二十四節気の四節気分つまり二ヶ月が一つの気候生理学的な時間単位となるようです。

二十四節気:立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒


 

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