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2014年10月19日 (日)

自発痛の成り立ち (2001/11/19)

長年疑問としてきた自発痛の成り立ちと治療について貴重な体験をさせてもらっている○さん。
特定の処置中に増悪する肩痛と腫脹について、既成の整形外科的な見方で理解したとしても対処できにくいのであれば、見方を少し変えてみるとよい。教科書やレポートに学ぶ前に目の前の患者さんに学べば、もっと違った見方や対処が可能ではないのか、という見本ともいえるような例。
フロック、まぐれ、心気傾向と暗示効果などなどと言われてしまうほどの良い結果で、○さん共々大喜びしている。
自発痛にせよ神経痛にせよその消長の観察から得られる推理仮説は、還流障害で微細局所の組織内圧が高まった結果の発痛とその消退。作業仮説としての養生法「流れ込む側を冷やす・流れ出る側を暖める」が、実際の症状緩和によって確かめられれば、的を射ていることになりはしないか。
素直に事実を見つめ学ぶこと、初心に帰ることの難しさが改めて問われている。

就寝後しばらくする咳がでて、それが数時間続いて熟睡できないという△さん。
粘液性の痰で悩まされている小生と違い、ほとんど痰は出ない。日頃から声枯れしやすくのどを痛めやすい。熱発もない。のど痛は少し。カゼということで葛根湯や抗生物質など服薬するも無効。気管支肺炎を心配しての検査も問題なし。
こんな咳発作は中年から初老期の女性には多い。就寝に限らず臥すだけで出ることも少なくない。

のどの粘膜の過敏性が問題なのだと考えられる。のどの粘膜の過敏性は、カゼなどの炎症によるとしてもその炎症の種類が普通感冒の場合とは違うのではないか。
背景にのどの粘膜の過敏性がまずあり、それが空気の乾燥、冷気、臥位での神経反射、臥位で気管粘膜のクリーニング機構が活発なること(痰の生成)、などの条件を得て「咳」となるのではなかろうか。
のどの粘膜の感覚は非常に鋭敏かつ「記銘」されやすいもので、魚の小骨や錠剤をのどに引っかけた後などはいつまでもその感覚が去らず、耳鼻科で確認してもらいたくなることも少なくないようである。
のど粘膜の鋭敏性は、燕み下しの時に気管に異物が入らぬように仕組まれている燕下反射のセンサーとして大切な故であろう。

最近、初老期女性の慢性膀胱炎や神経性膀胱について、膀胱粘膜の表面ではなく深部に炎症像(非細菌性の間質性炎?)がみられるということが言われている。
乾燥肌の人は、冬季ともなると入浴や就寝、肌の露出などで皮疹を伴わない痒みに悩まされることが多くある。老人では特に皮膚の脂肪層が薄くなり水分が失われやすくなって痒がる人が少なくない(老人性掻痒症)。
のどの粘膜でこのような現象が起きている可能性がありはしないか。
鍼灸治療としては、のどや気管粘膜に「潤い」が得られることを期待して、首や胸や腕にツボをとる。

養生法として、痰が多くて切れにくければ大根汁がよく効く。上記のように痰が少なければ就寝前に蜂蜜ドリンクを用意し枕元において少しずつ、一口ずつ含むようにする。軽く絞った濡れタオルをスタンドにかけて枕元に置く。

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