風呂上がりの坐骨神経痛の増強に「打ち水」が効果的なケースから考えられること (2001/11/12)
腰椎仮性すべり症による坐骨神経痛と診断されている60代の女性。 普段の歩行でも跛行(ビッコをひくこと)する。炊事の立位継続も30分ほどで休息を要する。
近くの温泉によく行くが、入浴中は痛みがかなり軽減して気持ちがよいが、帰宅する頃になると「ダル病み」が非常に強くなり、数時間続く。
従来から、坐骨神経痛の養生の原則として風呂は短めにと言われている。 暖まっていると痛みは和らぐが、冷めてくると痛みが増強する、と言われてきた。 「坐骨神経痛では風呂は短め」が何故なのか、理論的な説明は私の知っている範囲ではあまりなく良く解っていないようである。
温泉を上がるとき、冷水を臀部から脚にたっぷりと「打ち水」してはどうかと勧め、その結果、湯上がり時の神経痛の増強はほとんどなくなる(もっとも、治療の成果があがっており神経痛は半減していたが)。
ずっと昔、馬尾神経障害(脊椎の中が何らかの理由で狭くなって下肢を支配する神経が圧迫されて起こると考えられている)の外科手術所見の報告を読んだことがある。 神経の束の表面を走っている静脈が強く怒張(腫れ膨らむ)していた、との記載が印象に残っている。
神経痛の要因は様々である(神経痛の項参照)。神経の圧迫・絞扼、炎症、循環障害など言い尽くされているように思うが、実際の治療を考えるときに役に立つほどその機械的・物理的メカニズムは解明され尽くしていない。
比較的太い神経の束の中を栄養する血管には動脈系も静脈系もあるわけで、傷害状態となっている部分でのその「循環障害」の実態はどのようになっているのか、それが本当に知りたいことである。
脚が暖まってより多くの動脈血が末梢に循環すると、還流系である静脈やリンパもより多くの還流量が流れ込むわけで、その時に還流機能の相対的な機能低下がある部位の遠位端の血管や組織は怒張し内圧が高まるのではないか、それが神経痛の増強ではないか、という仮説。
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